Speech to Text API比較2026:音声認識API 7社の料金と選び方
Speech to Text APIの選び方を、Mistral、Deepgram、AssemblyAI、OpenAI、Google、ElevenLabs、Speechmaticsで比較。録音とリアルタイムの料金、対応言語、話者分離、ターン検出の違いを整理し、音声エージェントや多言語アプリに合う構成を見極めます。
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Speech to Text APIを選ぶなら、音声エージェントにはDeepgram、話者ラベルが必要な多言語の録音にはElevenLabs Scribe、実行環境を自社で管理できることが決め手ならSpeechmaticsから検討するとよいでしょう。MistralのVoxtral 3も、ファイル処理が音声1時間あたり$0.21という料金で候補に加わりました。ただし、ライブモデルの話者分離には、設計段階で考慮すべき制約があります。
各社の料金ページとドキュメントを2026年10月21日に確認しています。 本記事は公開されている機能を比較し、時間あたりの費用を計算したものです。実際に音声を処理して認識精度を測ったベンチマークではありません。
文字起こしAPIは、アプリケーション内で音声をテキストに変換します。まず決めるべきなのは、録音が終わってから処理すればよいのか、それとも相手が話している最中に反応する必要があるのかです。次に、発言の内容だけで足りるのか、誰が話したかも記録したいのか、エージェントが応答するタイミングを示す信号まで必要なのかを整理します。同じベンダーでも、要件によって選ぶモデルは変わります。
APIではなく、すぐに使える会議アプリや編集アプリを探している場合は、OtterやDescriptなどを扱う別記事のAI文字起こしツール比較をご覧ください。
Speech to Text API比較一覧:料金・話者分離・対応言語
時間単価を比べる前に、処理方式を決めてください。 安価なファイル用モデルがそのままライブ音声認識の代わりになるとは限りません。ライブ対応モデルでも、話者ラベルや会話のターン検出が備わっているとは限りません。
以下の金額はすべて、基本の文字起こしに対する米ドル(USD)建ての料金です。分単位のモデルは、分単価 × 60で時間単価にそろえています。AssemblyAI、ElevenLabs、Speechmaticsは該当する料金を時間単位で公表しているため、その値を使っています。オプション、税金、ストレージ、利用する言語モデル、音声生成の費用は含みません。処理対象は単一の音声チャネルとし、個別交渉による法人契約は想定していません。
「ストリーミング」は、届いた音声を順次受け取る処理を指します。アップロード済みのファイルからテキストを順次返す機能とは別です。「話者分離(ダイアライゼーション)」は発言を話者ごとに分ける機能であり、その人の氏名まで特定するとは限りません。
換算元の分単価は、Mistralが$0.0035/$0.004/$0.008、Deepgramの表中の構成が$0.0043/$0.0048/$0.0065、OpenAIが推定$0.0045/$0.017、Googleが$0.016/$0.003です。Deepgramのライブ話者分離オプションは$0.0020/分です。Google Standardは月間使用量の最初の料金帯を使っており、大量利用による割引は適用していません。
言語と機能の詳細は各社のモデル資料に基づきます。Mistralの言語対応表、Deepgramのモデル一覧、OpenAIの文字起こしガイド、GoogleのChirp 3ドキュメント、ElevenLabsの機能ガイド、Speechmaticsのモデルガイドを参照しています。AssemblyAIはモデル別の言語数と追加料金を料金ページに明記しています。
Speechmaticsは、割引適用後のMeliaの料金として約$0.12/時間を目立つ位置に表示する場合があります。一方、料金計算ツールでは、割引なしのファイル処理は$0.24/時間です。比較表にはこの基本料金を採用し、モデル学習への同意やボリュームクレジットによる割引は含めていません。同様に、Deepgramでキャンペーン価格と示した料金も、予算を確定する前に再確認が必要です。
音声認識API 7社の強みと選ぶ理由
最初にライブ音声エージェントの幅広い用途で推奨するサービスを取り上げ、続いて特定の要件に強い選択肢を紹介します。認識精度のランキングではありません。録音アーカイブに適したモデルが、その録音元となるライブ通話にも適しているとは限りません。
1. Deepgram:音声エージェントなら最初の候補に
音声エージェントでは、まずDeepgramを候補に挙げます。Fluxが文字起こしとともに会話のターンを示す信号を返すためです。 ターン信号は、通話相手が話し終えたと思われるタイミングをアプリケーションに伝えます。応答するエージェントにとっては、正しく認識された単語がもう一つ届くことよりも役立ちます。Nova-3はこれとは別の汎用文字起こしモデルで、録音ファイル、字幕、モデル自体によるターン検出が不要な処理に向いています。
予約アシスタントが「金曜日に予約したいのですが……やっぱり月曜日で」と聞いた場面を考えてみてください。途中までの文字起こしは応答の準備には使えますが、それを根拠に金曜日の予約を確定するのは不適切です。アプリケーションは、発話の継続、いったん話し終えたように見える状態、発話の再開を区別する必要があります。Fluxのクイックスタートでは、このやり取りに対応するEndOfTurn、任意で利用するEagerEndOfTurn、TurnResumedの各イベントを説明しています。
これにより、エージェントがいつ応答するかを実装上のルールとして明確にできます。早めに応答の準備を始めるのは、相手が話し続けたときに取り消せる場合に限ります。予約の確定など外部の状態を変える処理は、アプリケーション側の判断・確認ロジックを通してください。先回りして処理を進める利点が生きるのは、言い直しを誤った操作につなげない場合です。
向いている用途: ライブ音声エージェント、汎用文字起こしと会話用モデルを使い分けたいチーム。
注目点: Fluxのネイティブなターンイベントと、ファイル・字幕向けのNova-3。
料金: Nova-3の単一言語ファイルは$0.0043/分、音声1時間あたり$0.258から。ライブモデルと追加機能の料金は比較表で分けています。
無料トライアル: Deepgramの料金ページによると、クレジットカード不要で$200分のクレジットを利用できます。
注意すべきなのは、モデルが違えば機能と言語の対応範囲も違うことです。Flux Englishは英語用です。Flux Multilingualには英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ヒンディー語、ロシア語、ポルトガル語、日本語、イタリア語、オランダ語が掲載されています。Novaの対応言語が多いからといって、製品で扱うすべての言語にFluxが使えるわけではありません。同様に、Novaが汎用文字起こしに対応していても、Fluxと同じターン処理を備えているとは限りません。
話者ラベルの要件によって、実装と料金も変わります。現行の話者分離ドキュメントでは、バージョンを指定するdiarize_modelパラメーターを推奨しています。バッチ用とストリーミング用の話者分離モデルは異なり、ストリームにバッチ専用バージョンを指定すると検証エラーになります。会議向けの製品なら、実際に保存するレスポンスの話者ラベルを確認してください。バッチのサンプルを確認しただけで、ライブ用エンドポイントも同じ動作だと判断すべきではありません。
小規模な試作では、規模を拡大したときの上限も見落としがちです。DeepgramのPAYG料金ページには、音声認識のWebSocket接続は最大150、RESTリクエストは最大50の同時実行数が示されています。同時実行数とは、その時点で並行して処理する数であり、月間の合計時間ではありません。始業時に顧客の通話が一斉に始まるアプリケーションでは、平均利用量が少なくてもピークを見込む必要があります。
- Fluxは、通話相手に応答するエージェントに適したターンイベントを返します。
- Nova-3は、ファイル処理とライブ文字起こしの両方に対応します。
- モデルとオプションの料金が公開されており、費用を見積もれます。
- Fluxの対応言語は、Nova全体の対応言語より少なめです。
- ライブの話者ラベルには追加料金がかかり、バッチとライブでは話者分離モデルのバージョンも異なります。
- 長期予算を組む前に、ストリーミングのキャンペーン価格を再確認する必要があります。
結論:Fluxを選ぶ決め手は、文字起こしに加えて会話の応答を制御できることです。 通話後の録音を検索できれば十分な製品なら、Nova-3やファイル処理に強い別のサービスから検討しましょう。料金体系全体はDeepgramの料金解説で扱っています。
Fluxを初めて組み込むときの手順
会話用モデルを選ぶ
英語には
flux-general-enを使います。多言語では、対応言語を確認したうえでflux-general-multiを選びます。メーカーの現行Fluxクイックスタートと、WebSocketの/v2/listenパスを出発点にしてください。送信する音声に設定を合わせる
生の
linear16音声では、実際のサンプルレートを指定します。Deepgramはクイックスタートで16000を推奨しています。対応するコンテナ形式の音声は、ドキュメントに沿って自動検出を使い、実際の形式と矛盾する生音声向けの設定を付けないようにします。テキスト処理とターン処理を分ける
文字起こしの更新を表示またはバッファリングし、
EndOfTurnは独立したイベントとして処理します。まずはドキュメント記載のeot_thresholdの既定値0.7で始めてください。先行生成を加えるのは、TurnResumedを処理し、生成途中の応答を取り消せるようにしてからです。利用者が実際にする言い直しや割り込みを試す
日付を言い直す、アカウント番号を探して黙る、エージェントの発話にかぶせて話すといった場面を試します。アプリケーションが待機し、聞き取りを再開し、訂正内容を保持できるか確認してください。これは導入時の受け入れ確認として提案する項目であり、本記事の比較で実施したテストではありません。

2. Mistral Voxtral 3:ファイル処理の有力候補。プレビューの制約は要確認
MistralのVoxtral 3は、今、ファイル文字起こしで評価する価値があります。EU内でホストされるAPIや、自社環境へのデプロイも求めるなら特に有力です。 この文字起こしモデル群は2026年10月20日にパブリックプレビューに入りました。録音向けのVoxtral Mini Transcribe 3とVoxtral Small Transcribe 3、ライブ音声向けのVoxtral Mini Transcribe Realtime 3で構成されます。同じモデルのストリーミング設定を切り替える感覚ではなく、それぞれ別の選択肢として扱ってください。
この違いは、製品の費用と設計に直結します。顧客インタビューを取り込むアプリなら、ライブセッションに料金を払ったり、会話制御を実装したりせずにMiniを評価できます。電話対応エージェントにはRealtimeモデルが必要で、いつ応答するかも別途設計しなければなりません。Mistralのファイル用モデルは50言語、Realtimeモデルは言語・方言を合わせて45に対応しています。製品要件には、こうしたモデル別の数値を使うべきです。
MistralはSmallを、より高品質なファイル用モデルと位置付けています。これはMistral自身による位置付けであり、本記事で精度を測定した結果ではありません。判断すべきなのは、顧客名、製品コード、訛りのある発話、参加者の声の重なりなど、実際に扱う録音の誤りをSmallが解消するかどうかです。Miniがすでに受け入れ基準を満たしているなら、大きいモデルのほうが製品に適しているとは限りません。
向いている用途: EU内のホスティングを選べるファイル文字起こし、新世代のVoxtralを評価するチーム。
注目点: Mini、Small、Realtimeが別モデルとして用意され、処理方式が明記されています。
料金: Miniのファイル文字起こしは$0.0035/分、音声1時間あたり$0.21から。自社環境へのデプロイに関する商用条件は個別見積もりです。
無料トライアル: 参照したモデルページに、無料の文字起こし枠の具体的な量は記載されていません。無料利用を前提に計画する前に、アカウントの条件を確認してください。
特に重要な制限は、詳しい音声認識の概要に記載されています。ライブ話者分離とターン検出は、同一セッションで実行できません。 モデル群として両機能を備えると紹介されていても、一つのリクエストで併用できるとは限りません。
通話相手へ即座に応答し、管理者向けには話者ラベル付きの記録も残すエージェントを考えてみましょう。Mistralの話者分離ガイドは、ライブではターン検出を使い、音声を保存して、通話後に録音を話者分離する構成を勧めています。実現可能な設計ですが、処理工程が増えます。ライブの話者ラベルとターン信号を同時に必要とするなら、設定変更で制限が解消されると考えず、別のモデル構成を評価してください。
字幕や編集の製品には、もう一つ制約があります。現行のファイル用ドキュメントで提供されているのは、セグメント単位のタイムスタンプであり、単語単位のものではありません。セグメントはひとまとまりの発話区間を示します。一方、単語単位のタイムスタンプがあれば、編集画面で特定の単語を強調したり、その位置に移動したりできます。文字起こしが自然に読めても、画面に必要な時間精度を満たしているとは限りません。
音声理解に関する説明も慎重に読む必要があります。モデル群の発表は、より広い音声処理の仕組みを扱っていますが、現行の音声認識ガイドでは、提供開始時点の音声への質問や翻訳は、Voxtral 2を使う音声入力付きチャットで処理します。これらの関連機能を、Voxtral 3の文字起こしで確認済みの機能として販売すべきではありません。プレビューという位置付けを踏まえ、使用モデルを固定し、実際の処理手順を確認してください。候補から外す必要はありません。
- ファイル用の両モデルとライブモデルについて、分単価がそれぞれ公開されています。
- ファイルの話者分離と、文脈に応じた語彙の指定がドキュメントに記載されています。
- EU内のホスティングと、自社環境へのデプロイを選べます。
- 同一セッションでは、ライブ話者分離とターン検出を併用できません。
- 現行ガイドでは、ファイルの単語単位タイムスタンプは利用できません。
- パブリックプレビューのため、モデルと機能ごとに受け入れ条件を明示して確認する必要があります。
結論:ファイル処理にはVoxtral Miniを候補に入れ、Realtimeは実際の会話要件を満たすか確認しましょう。 月間1,000時間のファイル処理を仮定すると、基本の文字起こし料金はMiniが$210、Smallが$240です。この差なら、修正にかかる手間を基準に選ぶべきでしょう。より広いモデル料金の話は、別記事のMistral料金ガイドで扱っています。
3. AssemblyAI:文字起こし結果の使い方からモデルを選ぶ
AssemblyAIは、構造化された文字起こしと、用途に応じて選べる追加処理を必要とする製品に向いています。 Universal-2は対応言語の多いファイル用モデルです。Universal-3.5 Proはそれとは別のファイル用モデルで、対応言語は少なくなる一方、プロンプトの指定方法が増えます。ライブ用途のUniversal-StreamingとUniversal-3.6 Pro Realtimeにも、それぞれ固有の料金と機能があります。サービス名だけでは、本番で送るリクエストを決められません。
相性がよい例は、通話内容を確認するアプリです。顧客が録音をアップロードすると、アプリがタイムスタンプ付きの発言を生成し、確認担当者が誰の約束だったかを把握できます。そのうえで、要約、エンティティ検出、情報のマスキングも必要か判断します。それぞれ用途が異なるため、使える機能をすべて有効にすると、利用者が見る画面を改善しないまま費用だけが増えがちです。
現行の料金ページでは、ファイル文字起こしに単語単位のタイムスタンプと書式整形が含まれ、話者分離は追加機能として扱われています。また、一般的な話者ラベルを氏名や役割に置き換えるSpeaker Identificationも別に説明されています。この違いは重要です。再生画面によっては「話者A」で十分ですが、応対指導や品質確認では「顧客」と「担当者」を区別する必要があります。
向いている用途: 録音通話を扱う製品、文字起こしを構造化して処理するアプリ。
注目点: ファイル、リアルタイム、追加の音声理解機能を分けて選べます。
料金: Universal-2のファイル処理、またはUniversal-Streamingは音声1時間あたり$0.15から。話者ラベルは別料金です。
無料トライアル: カードなしで登録できます。公表されている無料枠は、モデルと適用枠に応じて録音音声が最大185時間、ストリーミングが最大333時間です。
注意点は、モデルと価格帯ごとに対応言語が異なることです。Universal-2は99言語、Universal-3.5 Proは18言語、Universal-3.6 Pro Realtimeは32言語を掲載しています。より安価なUniversal-Streaming Multilingualの対応言語は、英語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、イタリア語です。ベンダーが公表する最大の言語数を製品全体の対応数として宣伝すると、採用したライブモデルにはない機能を約束しかねません。
製品担当者は、言語と機能を組み合わせた受け入れ確認表を用意するとよいでしょう。顧客がドイツ語と日本語を話すなら、選んだファイル用またはライブ用モデルで、必要な各言語が使えるか確認します。その後、その言語の難しい音声を試します。対応言語数が示すのは、その言語を提供していることまでです。自社の語彙、マイクの条件、言語を切り替える話し方まで保証するものではありません。
話者ラベルを加えると費用比較も変わります。Universal-3.5 Proにファイルの話者分離を加えた合計は$0.23/時間、Universal-3.6 Pro Realtimeに話者分離を加えた合計は$0.57/時間です。月間1,000時間を仮定すると、それぞれ$230と$570になります。対象とする処理が違うため、この差を「同じ作業を速くするための料金差」と解釈すべきではありません。
同期APIとの違いも押さえてください。同期APIは一度のリクエストで完成した文字起こしを返します。一方、非同期のファイル処理では処理を依頼し、結果を後から受け取ります。どちらも、ライブ音声の接続を開いたままにする方式と同じではありません。短い音声メモならアップロードと応答の短い待ち時間を許容できますが、返答を待っている通話相手にはライブ処理が必要です。利用体験を基準に選びましょう。
- ファイル処理でタイムスタンプ、書式整形、任意の話者ラベルを利用できます。
- 料金ページで基本の文字起こしと追加機能が分けられています。
- 記載された対応言語には、低料金のストリーミングを選べます。
- モデル間で対応言語に大きな差があります。
- ファイル、ライブのどちらも話者分離には追加料金がかかります。
- 音声理解の追加機能は、製品上の必要性と予算を個別に検討する必要があります。
結論:文字起こしを製品の構造化データとして使うなら、AssemblyAIが候補になります。 モデルを選ぶ前に、必要な確認画面や後工程の記録を描いてみてください。話者情報付きの発言が必要なら、最初からその構成で見積もります。検索できるテキストだけでよい場合は、利用者が目にしない処理に費用をかける必要はありません。
4. ElevenLabs Scribe:多言語の録音を扱う製品に強い
ElevenLabs Scribeは、話者ラベル、単語の時刻情報、発話以外の音のタグが必要な多言語録音で有力な候補です。 Scribe v2は90+言語と、最大32話者の話者分離をドキュメントに掲載しています。インタビューのアーカイブ、メディアライブラリ、通話確認アプリに役立つ機能です。Scribe v2 Realtimeは別のライブ用モデルであり、利用できる機能の範囲も異なります。
複数の言語によるインタビューを利用者がアップロードするメディアアプリを考えてみましょう。必要なのは、文章だけではありません。単語をクリックして移動できること、話者の交代が分かること、笑い声や拍手などの音を残せることも求められます。ElevenLabsの機能ガイドには、ファイル用モデルの機能としてこれらが記載されています。音声生成サービスと同じベンダーだからというだけでなく、Scribeを評価する具体的な理由になります。
単語ごとの時刻情報は、文字起こしを編集や録音内の移動に使う画面で特に役立ちます。長いセグメントの中を探さずに、録音の正確な位置へ移動できます。音声イベントのタグも、通常のテキストでは抜け落ちる文脈を保持できます。ただし、これらは表示・絞り込みの方法を決めて扱うメタデータです。誰かが口にした言葉と同じように、無条件で検索インデックスへ入れるべきではありません。
向いている用途: 多言語インタビュー、メディア、録音通話を扱うアプリ。
注目点: ファイルの話者ラベル、単語単位のタイムスタンプ、音声イベントタグをまとめて利用できます。
料金: Scribe v2のファイル処理は音声1時間あたり$0.22から。Scribe v2 Realtimeは$0.39/時間です。
無料トライアル: Free/PAYGの料金表にScribeの利用枠が掲載されています。モデルごとに独立した無料枠があると考えず、プラン内で共有する枠を確認してください。
注意したいのは、ファイルの話者分離がライブモデルにも備わっていると思い込むことです。今回確認したライブ機能一覧とWebSocketリファレンスには、話者ラベルの記載がありません。現時点で確認できる対応範囲の話であり、将来も提供されないという意味ではありません。ライブの話者情報が必須なら、その用途でScribe Realtimeを選ぶ前に、対応構成がドキュメントで確認できることを条件にしてください。
ライブAPIには、途中の文字起こしと確定した文字起こしの説明があります。ブラウザへ組み込む場合、クライアント側のガイドでは、永続的なAPIキーをブラウザへ渡さず、サーバーで生成した使い捨てトークンを使います。Webアプリにマイク入力を実装する際の具体的な出発点になります。画面には暫定的な単語を表示しつつ、確定したセグメントを別に記録できます。
録音ファイルについて、ドキュメントに記載された標準のアップロード上限は3 GB、10時間です。マルチチャネルモードでは、チャネル番号から話者IDを割り当てられます。録音元ですでに参加者を分けている場合に有用です。上流の録音システムが分離した音声を渡してくれるなら、その状態を保持してください。混合したトラックからモデルに話者を推定させることで、もともと持っていた情報を捨ててしまう場合があります。
語彙に関する機能は別に見積もりましょう。API料金ページでは、バッチ処理のキーターム指定に$0.05/時間の追加料金が設定されています。仮に1,000時間のファイルを処理するなら、基本料金は$220、このオプションを加えると$270です。関連する製品用語集を渡す価値はあるかもしれません。ただし、用語集には実際に話されそうな語を入れ、カタログ内の全単語を詰め込まないようにします。
- ファイル用モデルで、幅広い言語対応と話者ラベルを両立できます。
- 単語単位のタイムスタンプと音声イベントタグが、メディア編集や内容確認の画面に適しています。
- ブラウザ向けトークンの利用手順が公開され、ライブのマイク入力を組み込めます。
- 確認したScribe Realtimeのページに、ライブ話者分離の記載はありません。
- 語彙の指定と文字起こしの編集は、それぞれ別料金の追加機能です。
- ファイルとリアルタイムの要件は、別々に受け入れ確認する必要があります。
結論:録音コンテンツで実際に使う機能を基準に、Scribeを評価しましょう。 多言語ファイルと、画面で活用できる文字起こしメタデータが強みです。その用途ならElevenLabs Scribeから試し、実装は上記の直接リンク先のドキュメントで確認してください。
5. OpenAI:現行モデルを選び、話者ラベルの移行も計画する
OpenAIは、すでに同社のAPIで開発しており、現行の文字起こしモデルの機能が要件に合うチームに向いています。 現在、同社は録音済みの音声にgpt-transcribe、ライブで届く音声にgpt-live-transcribeを推奨しています。新規の組み込みでは、この組み合わせから検討します。古いWhisperやGPT-4oのチュートリアルをそのまま使うと、すでに提供終了が予定されたモデルを組み込むことになりかねません。
公式の文字起こしガイドは、ファイルの出力ストリーミングとライブ入力を区別しています。ファイルのリクエストでは、録音済み音声を処理しながらテキストを少しずつ返せます。ライブセッションでは、まだ届き終わっていない音声を受け取ります。通信方式、再試行の挙動、アプリケーションが文字起こしの完了と判断する時点を決めるうえで、この違いが重要です。
音声メモを検索可能なテキストに変えるアプリなら、ファイル処理を基準に考えるのが自然です。通話相手の発言をリアルタイムで追うサポートエージェントには、専用のライブ処理を使います。アプリ内の別の場所に既存のコード例があるという理由だけで、エンドポイントを選ぶべきではありません。
向いている用途: 従来モデルと同じ機能があると思い込まず、現行のファイル・ライブ文字起こしを必要とする既存のOpenAIアプリ。
注目点: 用途別の推奨モデルと、プロンプト、キーワード、想定言語を渡す共通のコンテキスト入力。
料金: 推奨ファイルモデルは推定$0.0045/分、音声1時間あたり$0.27から。ライブ文字起こしは推定$1.02/時間です。
無料トライアル: 参照した料金ページでは、無料の文字起こし枠は確認できません。
OpenAIの文字起こしAPIはいくらかかる?
OpenAIは分単位の数値を推定費用と表記しているため、時間単価へ換算した後も推定値として扱っています。現行の料金ページには、従来モデルのgpt-4o-mini-transcribeが推定$0.003/分、gpt-4o-transcribeが$0.006/分とも記載されています。音声1時間あたりでは、それぞれ$0.18と$0.36です。既存の利用者が移行を検討する際の参考にはなりますが、従来モデルの安い料金を理由に新製品へ採用することは勧めません。
非推奨化のお知らせでは、whisper-1、gpt-4o-transcribe、gpt-4o-mini-transcribe、gpt-4o-transcribe-diarizeの提供終了を2027年2月26日に予定しています。現行のファイル用ガイドでも、話者ラベル付きの出力は非推奨の話者分離モデルの項目で説明されています。また、モデルIDを変更するだけでは、すべての出力形式やメタデータ機能が維持されるわけではないと注意しています。
会議アプリでは、ここが移行の障壁になります。これまで話者フィールドや時刻情報を返していた文字起こしを、製品の動作を変えずに通常のテキストへ置き換えることはできません。データベースと画面が使うフィールドを洗い出し、移行先のレスポンスと比べてください。話者ラベルが必須で、現行の推奨構成に記載がなければ、対応が確認できる別のサービスを評価します。移行を単なる文字列の置き換えと考えるべきではありません。
ファイル用ガイドでは、アップロード上限を25 MBとしています。1時間の録音でも、エンコーディングによっては圧縮や分割が必要です。分割の境界で単語が抜けたり、テキストが重複したり、後工程に必要な文脈が崩れたりしないように設計してください。顧客が任意の録音をアップロードできる製品では、ファイルサイズの上限も利用体験に関わります。
専門用語に対応するため、推奨モデルにはプロンプト、キーワードそのもの、想定する言語を渡せます。録音の背景や出てきそうな用語を説明するために使ってください。これは認識の手がかりであり、音声に存在しない語を文字起こしへ強制的に入れる指示ではありません。また、Whisperが公表する対応言語数を新モデルの説明に流用しないでください。現行ガイドには言語入力の説明はありますが、モデル全体をまとめた対応言語数はありません。
- 推奨するファイル用モデルとライブ用モデルが明確に分けられています。
- 録音の背景、想定用語、想定言語をコンテキストとして渡せます。
- すでにOpenAIを使う開発者は、慣れたAPIツールを利用できます。
- 従来の話者ラベルや字幕に依存する処理には、提供終了日が設定されています。
- 移行先で必要なメタデータが維持されるか、明示的な確認が必要です。
- ファイルのアップロードは25 MBまでで、ライブ文字起こしの公表推定単価は高くなります。
結論:OpenAIは、現行ドキュメントで対応を確認できる処理に選びましょう。古い文字起こしコードが動くというだけでは、採用の根拠になりません。 既存の連携では、トラフィックを切り替える前に必要なフィールドを洗い出します。話者情報を重視する新製品なら、その時点で別のベンダーが適していると分かる場合もあります。
6. Google Cloud Speech-to-Text API:既存のクラウド処理に合うなら有力
Google Cloud Speech-to-Textは、既存のGoogle Cloud上の処理に文字起こしを組み込む場合や、結果を後から受け取るバッチ処理が製品に合う場合に向いています。 Speech-to-Text V2のStandardとDynamic Batchでは、料金が大きく異なります。Chirp 3を使う際は、さらにモデル、APIメソッド、言語、リージョンを必要な機能に合わせる必要があります。
夜間のアーカイブ処理とライブ通話アシスタントを、Googleの同じ料金項目で見積もるべきではありません。アーカイブは処理の優先度を下げ、完了まで待てます。アシスタントは、今返答するために必要な言葉を後まで待てません。Googleの料金ページで示されているDynamic Batchは、処理を後回しにすることで割引を受ける選択肢です。安価なライブ用エンドポイントではありません。
向いている用途: Google Cloudアプリ、順次処理するアーカイブ、モデル別の設定を管理できるチーム。
注目点: V2 StandardとDynamic Batchを処理の条件に応じて選べます。
料金: V2 Dynamic Batchは$0.003/分、音声1時間あたり$0.18から。Standardの最初の料金帯は$0.016/分、$0.96/時間です。
無料トライアル: 料金ページにあるV1の無料時間枠を、V2の予算に当てはめないでください。アカウントに適用されるクレジットを別途確認します。
Googleの料金は、結果をいつまで待てるかで変わる
月間1,000時間の音声を仮定すると、公表されたStandardの単価では文字起こし料金が$960、Dynamic Batchでは$180になります。$780の差は、処理の後回しを受け入れることで生まれます。次回の確認作業までに結果があればよいアーカイブには有用ですが、顧客とのライブ会話をバッチ料金で処理できるわけではありません。ストレージなど、ほかのGoogle Cloudリソースの費用は別途かかります。
話者ラベルも、同じように条件を分けて確認します。Chirp 3のドキュメントでは、StreamingRecognizeによるライブ文字起こしに対応する一方、話者分離は非ストリーミング機能とされ、対応言語もより限定されています。話者ラベル付きのアーカイブには、ドキュメントに記載されたバッチ構成を使ってください。ライブ文字起こしに対応しているだけで、同じモデルのライブ話者分離まで約束することはできません。
Googleの製品ページは、Chirp 3の対応を、地域変種を含め85+言語としています。「地域変種を含む」という点は重要です。地域ごとの言語形式を数えている場合があり、他社と同じ基準で数えた言語数とは限りません。それ以上に重要なのは、対応表で提供段階と利用可能な機能が区別されていることです。特定の地域の言語と話者ラベルが必要な製品は、その両方の条件を満たす必要があります。
難所は、設定の組み合わせの多さです。複数の言語、リージョン、処理方式を扱う場合、chirp_3を選ぶだけでは終わりません。選択した組み合わせをアプリケーションの設定として管理し、非対応の組み合わせは明確なエラーにしてください。そうしなければ、英語のバッチデモで動いた機能が、顧客が別言語の音声をアップロードしたりライブ利用へ切り替えたりした途端、理由の分からない機能不足になります。
チャネルごとの課金にも注意が必要です。Googleは、処理した音声チャネルごとに課金します。担当者と通話相手を分けた録音は役割の情報を残せる点で有用ですが、請求は各チャネルの処理時間に基づきます。ステレオの通話アーカイブと他社の単一チャネルの料金例を比べる前に、この違いを計算に入れてください。
- 完了を待てる処理には、Dynamic Batchの専用料金を使えます。
- Chirp 3はV2で、ファイルとライブの文字起こしメソッドに対応します。
- 言語と機能の詳細な対応表があり、要件を明確に照合できます。
- Standardの最初の料金帯は、本記事で扱う複数の専門APIより高くなります。
- Chirp 3のライブ文字起こし対応は、ライブ話者ラベルの対応を意味しません。
- APIバージョン、リージョン、言語、メソッドのすべてが、有効な構成を左右します。
結論:周辺の処理と組み合わせる価値がある場合に、Googleを選びましょう。 既存のGoogle Cloudアーカイブには、結果を後から受け取る処理が合うかもしれません。音声エージェントを新規開発するなら、Dynamic Batchの目立つ料金を基準にせず、標準のライブ構成を専門サービスと比較してください。
7. Speechmatics:実行環境の管理と、話者を区別するライブ通話を重視
法人向けのオンプレミス導入や、ライブ会話で話者情報付きのセグメントが必要なら、Speechmaticsは優先して比較したい候補です。 オンプレミスとは、自社が管理するインフラ内で処理する方式です。Speechmaticsは法人向けサービスに、コンテナ、仮想アプライアンス、ハイブリッド構成を掲載しています。これらの商用条件は個別見積もりです。公開されているクラウド料金は、専用環境へ導入する場合の価格を約束するものではありません。
実行環境と同じくらい重要なのが、モデルの選択です。Melia 1は多言語のファイル・リアルタイム処理を担うモデル群で、Linden 1はAgent STTに使われます。モデルのドキュメントによると、Lindenは話者情報付きのセグメントとターンメッセージを返します。発言内容と話者情報を会話の構造として必要とするアプリでは、有力な候補になります。
複数人で使うスピーカーフォン越しのサポートアシスタントは、一人で使う音声入力とは事情が違います。別の人が会話に加わったり、背景の声が通話相手の声に重なったりすることがあります。モデルを選ぶ前に、エージェントが一人の声を追う必要があるのか、参加者を区別する必要があるのか、それとも誰の発言かを後から確認できる記録があればよいのかを決めてください。出力構造は後付けで考えず、この判断に合わせて選びます。
向いている用途: 実行環境に制約のある製品、話者を区別するライブ通話を評価するチーム。
注目点: 法人向けの専用環境へのデプロイと、独立したAgent STT用モデル。
料金: Melia 1のファイル処理は、割引なしのPAYGで音声1時間あたり$0.24から。Linden Agent STTは$0.30/時間。専用環境へのデプロイは個別見積もりです。
無料トライアル: 料金ページによると、カード不要で$100分のクレジットを利用できます。
料金の適用条件は見落としやすい点です。公開料金ページでは、モデル学習とボリュームクレジットの割引を適用した、より安いMeliaの料金が目立つ位置に表示される場合があります。料金計算ツールでは、基本のPAYGファイル処理が$0.24/時間と分かります。学習割引を選ぶと、音声のログ取得、保持、サービス改善への利用を許可することになります。同じ契約のまま無条件に安くなるのではなく、データの扱いに関する別の判断として検討してください。
ライブ機能には二つの制約があります。まず、Meliaのリアルタイム処理は現在、チャネル分離に対応していますが、話者分離には対応していません。チャネル分離は、入力時点で分かれているチャネルを使います。話者分離は音声から異なる声を推定します。また、モデルガイドでは、Meliaのライブ処理において、クライアントが発話の終了を検出し、ForceEndOfUtteranceを送信することが求められています。
もう一つは、Lindenの現行Agent STTページに示されたターン判定の方式です。現在のターン信号は無音検出に基づき、サーバー側の意味に基づくターン検出は今後の提供予定です。無音検出は、音が途切れるのを待ちます。意味に基づく検出では、相手が話の区切りまで言い終えたかどうかも考慮します。どちらも有用ですが、通話相手が照会番号の途中で黙った場合などには動作が異なります。
言語対応も同じように確認が必要です。Meliaは56言語と、言語が混在する音声の文字起こしを掲載しています。Lindenのページは55+言語としつつ、完全な多言語対応は今後提供すると説明しています。各言語を個別に扱えることは、一回の通話内で自由に言語を切り替えられることの証明にはなりません。多言語のコールセンターでは、Meliaと同じ動作だと考えず、この使い方を明示的に検証してください。
- 法人向けに、オンプレミスのコンテナや仮想アプライアンスを選べます。
- 公表されているLindenのAgent STTには、話者情報とターン信号が含まれます。
- 料金計算ツールを使えば、学習割引や利用量割引を外して比較できます。
- 専用環境へのデプロイには、商用条件の見積もりと運用計画が必要です。
- Meliaのリアルタイム処理は話者分離に非対応で、クライアント側で発話を制御する必要があります。
- 現在のLindenの無音に基づくターン判定は、意味に基づくターン検出とは異なります。
結論:Speechmaticsを選ぶ理由となる要件を明確にし、それを実際に満たすモデルを選びましょう。 ライブの話者情報や処理場所の条件により、より単純な選択肢が使えない場合は、特に評価する価値があります。法人向けの提案では、モデルと機能の具体的な組み合わせを求めてください。「オンプレミスの音声認識」という表現だけでは、製品要件を満たすか判断できません。
用途別に選ぶ、おすすめの文字起こしAPI
必要な出力や処理方式が変われば、最適な選択も変わります。 満たせなければ製品が成立しない条件から絞り込み、残った候補を実際の録音と想定費用で比較しましょう。
自然に返答する音声エージェントなら、Deepgram Fluxから検討します。決め手はターン処理です。ライブで誰の発言か分かることが重要なら、最初の比較にSpeechmatics Lindenを加え、無音に基づくターン判定の挙動を確認します。Mistral Realtimeはデプロイの選択肢が重要な場合に評価し、ライブのターン検出と話者分離を分けるというドキュメント上の条件を受け入れられるか判断します。
多言語のインタビュー録音やメディアなら、ElevenLabs Scribeから始めます。ファイルの話者ラベル、単語の時刻情報、音声イベントタグを、使いやすい確認画面につなげられます。入力言語が対応表に含まれるなら、AssemblyAI Universal-2も評価に値します。セグメント単位の時刻情報で足り、プレビューモデルの適合性を確認できるなら、Voxtral Miniも妥当なファイル用候補です。
構造化した通話分析では、アプリケーションに必要なフィールドから考えます。話者情報付きの発言や追加処理がワークフローに合うなら、AssemblyAIが自然な候補です。ファイルとストリーミングの両方を扱う選択肢として、Deepgram Nova-3も評価できます。担当者と顧客がすでに別々に録音されている場合は、推定による話者ラベルが必要か判断する前に、そのチャネルを保持してください。
キューに入れて処理するGoogle Cloudのアーカイブなら、V2 Dynamic Batchが処理期限に合うか比べます。割引が役立つのは、アプリケーションが結果の遅延を許容できる場合だけです。利用者が画面上で完了を待つなら、その体験を別に測ってください。同じ処理を優先度の低いキューへ移しても気付かれないと考えるべきではありません。
既存のOpenAIアプリでは、処理方式に合う現行の推奨モデルを出発点にします。ただし、従来の話者ラベル、字幕、その他のメタデータが必須で、移行先に対応の記載がなければ、既存環境との相性より要件を優先することになります。予定された移行は、ベンダーをそのまま維持するのではなく、依存している機能を点検するよい機会です。
オンプレミス処理なら、SpeechmaticsとDeepgramのドキュメントにある法人向けデプロイに、Mistralの自社環境向けサービスを加えて比較します。公表されていない商用条件は、いずれも見積もりが必要です。ライセンスだけでなく、ハードウェア、導入支援、対応モデル、更新の責任分担も比べてください。公開クラウドの音声時間単価だけでは、この導入判断はできません。
話者を推定する前に、録音元の役割情報を残す
録音元で担当者と通話相手のチャネルが分かれているなら、そのまま保持してください。 役割が分かっている録音チャネルを残せば、混合トラックから話者分離で推定し直す必要がありません。これは文字起こしベンダーへ渡す前の、上流の設計判断です。
担当者と通話相手を別々のチャネルで録音した通話を考えてみてください。アプリケーションは、各チャネルが誰のものかをすでに知っています。文字起こしの前に単一トラックへ混ぜると、この情報は失われます。話者分離モデルが声を匿名の話者に分けられたとしても、その話者を再び役割に結び付ける必要があります。

ElevenLabsは、マルチチャネルのファイルモードで、チャネルから話者IDを割り当てる仕組みを説明しています。Deepgram、AssemblyAI、Googleは、チャネルごとの課金を明示しています。つまり、チャネルを残すと誰の発言かを扱いやすくなる一方、請求対象の音声処理量が増える可能性があります。単一チャネルの見積もりとマルチチャネルの本番処理を、この差を計算せずに比較してはいけません。
会議用マイクは事情が異なります。すでに複数人の声が一つのトラックに入っているため、チャネルのラベルでは各人を取り出せません。ここでは話者分離に加え、声が重なったり似ていたりする場合の誤りを確認する手段が必要です。また、話者の区別と本人の特定は分けて扱ってください。構造化JSONに入っているというだけで、匿名の話者ラベルを、確認済みの顧客名として扱うべきではありません。
後工程で生成する要約にも、同じ原則が当てはまります。生成した要約とともに、元の文字起こし、話者ラベル、音声の参照先を残してください。返金を約束したのが誰かについて顧客と認識が食い違ったとき、アプリに必要なのは整った文章だけでなく、該当する音声へ戻れる手段です。
比較の方法と選定基準
本記事は、確認日を明示したドキュメント調査に基づく実装上の推奨であり、独立した精度ランキングではありません。 料金と具体的な機能は、2026年10月21日に各社の公式料金ページまたはドキュメントで確認しました。本記事のために有料の文字起こしリクエストを実行したり、音声の比較ベンチマークを行ったりはしていません。
選定の軸は、次の五つです。
- 必要なモデルは、録音済みファイル、ライブ音声、またはその両方を受け付けるか。
- 選んだ処理方式で、製品に必要な話者ラベル、タイムスタンプ、ターン信号が返るか。
- 実際に使う言語と言語切り替え時の挙動が、ドキュメントに記載されているか。
- 必要な実行環境でサービスを動かせるか。
- 必須の追加機能とチャネル課金を含めると、その構成はいくらになるか。
本記事で独自に行った分析は、時間単価への統一と、モデル・処理方式ごとの機能の照合です。Voxtralで併用できないライブ機能、OpenAIで非推奨となったメタデータ出力、Chirpの非ストリーミングの話者ラベル、Meliaのチャネル分離と話者分離の違いなど、ベンダー全体の機能一覧では見えにくい差を整理しています。
精度を比較するには、各社に同じ代表的な録音、正解の文字起こし、採点ルールを用意する必要があります。本記事では、その比較は行っていません。「最高精度」やベンチマークでの勝利といった表現は、あくまでベンダー自身の主張です。ここで扱う製品間の順位を確定するものではありません。
自社で評価するときは、製品として何を満たせば成功なのかを定義しましょう。検索できるインタビューアーカイブなら、句読点の違いは許容できても、人名の欠落は問題になるかもしれません。予約エージェントは、すべての単語を正しく認識しても、不適切なタイミングで相手の話を遮る場合があります。通話確認の製品では、美しい書式より、誰の発言かを安定して判断できることが重要かもしれません。利用者の結果を左右する動作を評価し、結果を確認する際もこれらの項目を分けて扱ってください。
対象は、ここで紹介した開発者向けAPIの七社です。一般利用者向けの会議・編集製品は別に扱っています。特定の言語やインフラの制約によっては、ほかのベンダーも評価に値するでしょう。本記事に載っていないことは、精度テストに不合格だったことを意味しません。
避けたいモデルと用途の組み合わせ
ベンダー自体が合っていても、用途に合わないモデルは避けてください。 購入や実装で特に注意したい組み合わせは、次のとおりです。
- 長期間使う新規の連携に、OpenAIの非推奨のGPT-4o文字起こしモデルやWhisper APIモデルを採用すること。 提供終了が明記されているため、移行作業がすでに必要になると分かっています。現行モデルを使うか、別のベンダーを評価してください。
- 同一セッションで話者分離とターン検出が必要なのに、Voxtral Mini Transcribe Realtime 3を選ぶこと。 詳細ガイドでは、この構成を明確に非対応としています。
- ライブのやり取りにGoogle Dynamic Batchを使うこと。 安価なのは処理を後回しにできるためであり、返答を待っている通話相手には使えません。
- ライブの話者ラベルが必須なのに、対応を確認せずScribe Realtimeを選ぶこと。 ファイル用の話者分離をライブの機能として扱う前に、ドキュメント上の対応を確認してください。
- 音声から話者を推定して分ける必要があるのに、Speechmatics Meliaのリアルタイム処理を選ぶこと。 チャネル分離は別の機能です。要件に合うモデルを評価してください。
精度をうたう見出しだけで選ぶことも避けましょう。メーカーの評価で優れたモデルでも、必要な言語、時刻メタデータ、実行環境に対応しなければ適しません。こうした必須条件は、試用前に確認できます。
開発者からよくある質問
文字起こしAPIは無料で使えますか?
無料クレジットは、本番で使う予定の有料構成が要件に合うかを確認するために使いましょう。Deepgramは$200、Speechmaticsは$100のクレジットを掲載し、AssemblyAIはモデル別の無料枠を公表しています。無料で使えることは、本番で無制限に処理できることを意味しません。アーカイブを投入する前に、アカウントの利用枠がどのモデル、処理方式、追加機能を含むか確認してください。
Pythonで音声認識APIを使うには、何から始めればよいですか?
Pythonのサンプルを選ぶ前に、処理方式とモデルを決めます。現行のOpenAIのファイル文字起こしでは、公式ガイドはgpt-transcribeから始めています。Mistralの音声クイックスタートは、現行のVoxtral Miniモデルを使います。ライブエージェントでは、プロバイダーの現行ストリーミング用クイックスタートを起点に、接続とターンのイベントを実装してください。現行ドキュメントを確認せず、古いチュートリアルのモデルIDを使わないようにします。
Google Speech-to-Text APIを新規に組み込む際の注意点は?
V2で新規に組み込むなら、モデルと認識メソッドを決めたうえで、言語と機能の対応表を確認します。StandardとDynamic Batchでは、料金も処理の緊急度も異なります。Chirp 3はライブ文字起こしに対応しますが、ドキュメントにある話者ラベル付きの処理は非ストリーミングです。
音声認識APIの導入は、どの順序で進めればよいですか?
メーカーの現行クイックスタートを使い、代表的な録音かライブセッションを一つ試すことから始めます。製品に必要なレスポンスのフィールドを確認してから、認識しにくい発話、話者の重なり、必要な言語を加えます。その後で、ピーク時の同時実行数を試し、実際に選んだ構成の月額費用を計算してください。
次の一歩:必須要件を満たす構成を比較する
来週は、最も厳しい要件をどちらも満たせる二つの構成を比較してみてください。 ライブアシスタントならFluxと話者情報付きのLinden、多言語インタビューアプリならScribeと条件に合うAssemblyAIまたはVoxtralのファイル用モデル、といった組み合わせです。録音を処理する前に、必要なレスポンスのフィールドと失敗とみなすケースを書き出しましょう。
通常の発話に加え、問題を起こしそうな場面を含む小規模な受け入れテスト用データを用意します。日付の言い直し、なじみのない名前、参加者の声の重なり、顧客が実際に行うなら言語の切り替えも含めます。文字起こしの誤りは、話者ラベルや応答タイミングの失敗とは分けて記録してください。そのうえで、評価した処理方式、チャネル、必須の追加機能をそのまま使って費用を見積もります。
APIを選ぶ前に、AI Business Workflow Audit Checklistを使って、音声の入力元、必要な出力、工程間の受け渡しを整理してください。チェックリストを入手する。
- 公開日
- カテゴリー
- Build
- 言語














