Figma Makeカスタムスキル実践ガイド:デザインシステム向け3点セット

Figma Makeのカスタムスキルで、デザインシステムを毎回のプロンプトに再入力せず適用する方法を解説します。実際に使える3つの.mdファイル、Notionコネクターで最新トークンを参照する構成、対応モデルの制限やアカウント単位の共有コストまで、制作現場で分かった実践ポイントをまとめました。

公開日

Figma Makeカスタムスキル実践ガイド:デザインシステム向け3点セット

Figma Makeで、ボタンの角丸が規定の8pxではなく12px、シアンもクライアント指定の#06B6D4に近いだけの色になったビルドを納品してしまいました。毎回のプロンプトにデザインシステムを書き直す作業をなくせたのが、5月11日に登場したカスタムスキルです。ここでは、実際に使っている3つのスキルをそのまま紹介します。

光る「/follow-ds-guidelines」スラッシュコマンドを表示したFigma Makeのプロンプトバーと、整列していくブランドトークンのグリッド

ブランド仕様から外れたまま出したビルド

レビュー用ビルドは、ほぼ正解でした。だからこそ危険でした。リブランド以来8pxに固定されているシステムなのに、ボタンの角丸は12px。プライマリアクセントは#18C5DAのような色で、クライアント指定の#06B6D4と見た目は近いものの、Figmaのカラーピッカーに貼り付ければ差は一目瞭然です。3つ目のフレームでは、本文がシステム指定の16pxではなく18pxになっていました。

その朝に書いたプロンプトが悪かったわけではありません。問題は、6つ前に書いたプロンプトでした。Figma Makeはセッション内のコンテキストを保持しますが、デザインシステムのルールは入力地点から離れるほど薄れていきます。ヒーローセクションの3案目を詰める頃には、もっともらしいトークン値をモデルが即興で補い始めます。2026年5月のリリースノートでも、カスタムスキルはまさにこの穴を埋めるものと説明されています。指示一式をパッケージ化して呼び出せるため、毎回貼り直さなくても各プロンプトに組み込めます。(Figmaリリースノートまとめ、2026年5月)

以下のスキルパックを作り、同じブリーフをMakeでもう一度実行しました。ボタンの角丸は8px、アクセントは#06B6D4、本文は16px。スキルがMakeを賢くしたのではありません。ルールを忘れられない状態にしたのです。

UIカードの比較。左は角丸とボタンの色がブランド仕様から外れ、右はクライアントのトークンに揃い、注釈も付いている
同じブリーフ、同じモデル。左はスキルなし、右は/follow-ds-guidelinesを呼び出した結果。

クライアントのデザインシステムが本当に求めるもの

この記事で扱うのは、実在するクライアントのシステムです。以下は機密情報を除いたトークンです。

  • カラー:背景は#0A0E14、前景は#E6EDF3、アクセントは#06B6D4の1色だけ。セカンダリアクセントもグラデーションも使いません。
  • スペーシング:基準は8px。使用できるスケールは8 / 16 / 24 / 40のみで、その間や範囲外の値は認めません。
  • タイプスケール:14 / 16 / 20 / 32 / 48。本文は16で、18は使いません。
  • 角丸:操作できるすべての面は8px、カードは0。例外はありません。
  • ボタン:コンポーネントは1つ、状態はデフォルト、ホバー、無効の3つ。デフォルトはアクセントで塗り、無効時は前景色を不透明度30%で使います。

「ブランドに合わせて」という一般的なプロンプトでは、どの項目も守れません。形容詞には解釈の余地があるからです。「クール、ミニマル、アクセントは1色」だけなら、該当するシステムは無数にあります。モデルに必要なのはムードボードではなく、この表です。目標は、セッションごとに表を打ち直さなくても、このクライアント向けのすべてのMakeビルドを表に照らして検証できる状態にすることです。

Figma Makeを支える3つのスキル——実際の.mdファイル

Figma Makeのカスタムスキルは、Agent Skills仕様に従う単一のMarkdownファイルです。frontmatterのnameがスラッシュコマンドになります。アカウント単位でインストールされ、所有するすべてのMakeファイルで利用できます。重要なのは、ファイル単体で完結させる必要があることです。scripts/、references/、assets/ディレクトリは使えません。モデルに参照させたい内容は、すべて指示内に直接記述します。(Figma Makeのカスタムスキル、Figmaヘルプ)

私が毎回書き直していた内容の90%は、次の3つのスキルで置き換えられました。

/follow-ds-guidelines

トークン表を、そのまま指示として貼り付けたものです。解釈も形容詞も加えません。

Markdown
---
name: follow-ds-guidelines
description: Enforce the client design system on every generated frame.
---

You are building inside a locked design system. Use these exact values.
Do not improvise alternates, do not interpolate, do not soften.

## Color
- background: #0A0E14
- foreground: #E6EDF3
- accent: #06B6D4 (single accent, no secondary)

## Spacing (8px base)
- allowed: 8, 16, 24, 40
- forbidden: any value not in the allowed list

## Type ramp
- 14 / 16 / 20 / 32 / 48
- body is 16. never 18.

## Radius
- interactive surfaces: 8
- cards: 0

## Button (one component, three states)
- default: fill #06B6D4, foreground #0A0E14
- hover: fill #06B6D4 at 90% opacity
- disabled: foreground #E6EDF3 at 30% opacity

If a request would produce a value outside this table, return the closest
allowed value and flag the substitution in a comment.

/design-crit

現在のフレームをトークン表と突き合わせて監査し、合否の一覧を返すレビュースキルです。違反箇所は16進カラーコードとピクセル値まで明示します。

Markdown
---
name: design-crit
description: Audit the current frame against the client design system.
---

Walk the current frame top to bottom. For every visual element, check:
- color hex against the allowed palette
- spacing values against the 8 / 16 / 24 / 40 scale
- type size against the 14 / 16 / 20 / 32 / 48 ramp
- radius against 8 (interactive) or 0 (cards)

Return a table:
| Element | Property | Found | Expected | Pass/Fail |

End with a one-line verdict: PASS if all rows pass, FAIL otherwise.
Do not auto-fix. The human decides which deviations are intentional.

/insert-sample-data

レビュー用ビルドに承認済みのプレースホルダー文言を入れるスキルです。lorem ipsumやモデルが作った企業名をそのまま出し、後から法務に止められる事態を防げます。(2026年5月のリリースノートまとめ)

Markdown
---
name: insert-sample-data
description: Replace placeholder text with approved sample data.
---

When asked for sample content, use only this set:

## Names
Sarah Chen, Marcus Okafor, Priya Raman, Diego Alvarez

## Company names (fictional, cleared)
Northwind Labs, Apex & Vine, Halcyon Group, Stratus Co

## Numbers
Use round numbers in product UI: 1,240 / 3,500 / 12,800.
Avoid revenue-shaped numbers unless asked.

Never use lorem ipsum. Never invent a real-sounding brand name not on this list.

ファイルはこの3つです。どれも、以前ならその都度貼り直していた内容を置き換えます。

Notionコネクターを接続し、最新のシステムを読む

/follow-ds-guidelinesにトークンを直接書く方法は、変更のないシステムには有効です。しかし、クライアントがトークンを更新した瞬間——そして更新は必ず起きます——埋め込んだ表は古くなります。そこでスキルとコネクターを組み合わせ、Makeに最新のソースを読ませます。(Figma Makeのコネクター、Figmaヘルプ)

このクライアントのファイルでは、デザインシステムを1枚のNotionページにまとめています。見出しはスキルと同じColor、Spacing、Type ramp、Radius、Buttonです。1つのプロンプトでスキルとコネクターを同時に呼び出します。

Text
Use the /follow-ds-guidelines skill, but pull the current token values
from @Notion "Halcyon – Design System v3" and override the inline table
where they differ. Then build the pricing section per the attached spec.

同じ形式で、DriveからPRDを取得することもできます。@Drive "Halcyon pricing PRD"を加えれば、Makeがデザインシステムと仕様のコンテキストを一度に組み立てます。(2026年5月のリリースノートまとめ)

クライアントごとの判断基準は単純です。四半期の間変更がないシステムならトークンを直接記述し、まだ変化しているシステムならコネクターから取得します。どちらでもスキルの.mdは変えず、プロンプトだけを変えます。これは意図的な設計です。クライアントごとにスキルを増殖させるのではなく、必要に応じて上書きできる1つのスキルにしたいからです。

なお、Figma MCPサーバーの/prototype-to-figmaスキルは別の機能です。コードとキャンバスを往復するためにプリインストールされており、自分で作成するものではありません。Makeのカスタムスキルはその逆で、自分で記述してMake内に置き、MCPレイヤーには触れません。

実運用で詰まった点——非決定性と共有コスト

発表では触れられていなかった点が3つあります。

対応モデルは、ドキュメントから受ける印象より限定的です。 現在カスタムスキルが動くのは、Figma MakeのデフォルトモデルとClaude Opus 4.7だけです。チームがMakeで別のモデルに統一している場合、スキルは適用されません。しかも目立つエラーは出ず、ひっそりと効かなくなります。(Figma Makeのカスタムスキル、Figmaヘルプ)チーム制作で「なぜまた角丸が違うのか」を調べるとき、私はまずここを確認します。

結果は同一ではなく、「多くの場合」に一貫します。 これはFigma自身のドキュメントにも明記されています。モデルは非決定的なので、複雑なフレームでは/design-critが逸脱を見落としたり、意図した差まで違反と判定したりすることがあります。(Figma Makeのカスタムスキル、Figmaヘルプ)そのため、このレビュースキルは素早い一次確認に使い、最終承認には使いません。

運用で効いてくるのが、共有コストです。 現時点のカスタムスキルはアカウント単位です。チームメンバーにパックを渡すには.mdファイルを書き出し、各自のアカウントへアップロードしてもらいます。組織単位の公開機能はありません。(Figma Makeのカスタムスキル、Figmaヘルプ)複数クライアントのシステムを扱うスタジオには、無視できない負担です。新しいメンバーが加わるたびに、稼働中のすべてのスキルを手作業でインストールし、更新のたびに再度書き出す必要があります。対策は地味ですが確実です。.mdファイルをクライアントのリポジトリでバージョン管理し、私たちの場合は同じモノレポ内でデザイントークンの隣に置き、リリースにタグを付けています。これでアップロード元がSlackメッセージではなく、1つの正本になります。

このように席単位の運用負担があるプラットフォームを使うデザイナー向けに、スタジオ運営の視点からWebflowプレミアムプランの料金計算についても書きました。ツール側は見えている機能に価格を付けますが、利用者側はその下にある統合の摩擦まで負担することになります。

結論——スキルに任せること、人が担うこと

DVNC.studioで数週間運用して落ち着いたルールは、「2回を超えて書き直したものはスキルに入れる」です。トークン表、レビュー用チェックリスト、サンプルデータの規約、アクセシビリティ注釈の定型文。どれも創造的な仕事ではありませんが、すべて運用コストになっていました。

人に残すべきなのは判断です。/design-critはシステム外の値を検出できますが、それがミスなのか、単発のマーケティング画面で意図した例外なのかまでは決められません。「この角丸は12で、期待値は8」は得意です。しかし、「キャンペーンのコンセプトに柔らかいカードが必要で、火曜日に合意したため12にした」という事情は判断できません。そこを見極めることこそ、人の仕事です。

次の火曜日に試すなら、最もよく使うクライアントのシステムを1つ選んでください。.mdファイルを開き、上のHalcyonの例と同じようにトークン表を貼ります。follow-ds-guidelines.mdとして保存し、カスタムスキルとしてアップロードしたら、実際のビルドを1本通します。その出力に/design-critを実行し、トークン表との差分を手作業で確認します。普段なら自分で見つける問題をスキルが拾えれば、クライアントごとに毎週1時間かかっていた再プロンプト作業を置き換えられます。明らかな問題を見逃したなら、直す場所はプロンプト履歴ではなく.mdです。

Figma Makeのカスタムスキルは、どのAIモデルでも使えますか?

いいえ。現在カスタムスキルをサポートするのは、Figma MakeのデフォルトモデルとClaude Opus 4.7だけです。チームがMakeのモデルを切り替えていると、スキルは何の通知もなく適用されなくなります。

スキルをチーム全体で共有できますか?

標準機能では共有できません。スキルはアカウント単位なので、.mdを書き出し、各メンバーが自分のアカウントにアップロードします。組織全体への公開はロードマップにはありますが、まだ提供されていません。

Figma MCPサーバーの/prototype-to-figmaのようなスキルと同じですか?

いいえ。そちらはコードからキャンバスへ反映する作業向けにFigma MCPサーバーへプリインストールされており、自分で作成するものではありません。カスタムスキルはFigma Make内に置き、自分で記述します。

どのFigmaプランが必要ですか?

カスタムスキルを使うには、Figmaの有料プランが必要です。

貼り付けたコピーではなく、実際のデザインシステムをスキルから読めますか?

はい。@Notion "<design-system-page>"のようにコネクターと組み合わせれば、Makeが最新のトークンを取得します。直接書いた表はフォールバックとして残します。

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Design
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