Vercel 料金はどこまで定額に?Flat Rate CDNの仕組みを解説
Vercel ProのFlat Rate CDNで、CDN料金はどこまで固定できるのか。4段階の容量、スパイク保護、オンデマンドとの違い、対象外コストを整理。SaaSや制作会社がBillingで選ぶべきティアを具体例から解説し、月額$20から始まる容量料金と、請求総額が定額にならない理由までわかりやすく紹介します。

Vercel 料金のうち、ProのCDN費用は予測しやすくなりました。ただし、Vercelの請求総額まで定額になったわけではありません。2026年9月8日、VercelはFlat Rate CDNの一般提供を開始しました。月間1 million件のリクエストと1 TBが基本枠に含まれ、フェアユースの範囲内であれば、契約ティアを一時的に超えるアクセス急増にも追加のCDN料金なしで対応します。
Vercel 料金のCDN部分は、従量課金から容量選択へ
コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)は、サイトのページや画像などのレスポンスを訪問者に近い拠点から配信する仕組みです。Vercelのオンデマンド方式では、基本枠を使い切ると、CDNリクエストとデータ転送量に単価を掛けた従量料金が発生します。
Flat Rate CDNで変わるのは、この請求項目だけです。通常時のトラフィックに合わせて月間容量のティアを選び、対象となるリクエストやバイトごとに支払う代わりに、表示されたCDN容量料金を支払います。
ここに示したのはCDN容量の料金であり、Vercel Pro全体の料金ではありません。この違いは、プランを判断するうえで最後まで意識しておく必要があります。
新規のProチームでは、Flat Rate CDNが最初から有効です。既存のProチームは、Billing設定から切り替えられます。Proを利用していない場合、この設定はそもそも請求方法の選択肢にはなりません。
容量はチーム全体で共有されます。1つのVercelチームにSaaSアプリ、マーケティングサイト、複数のクライアント案件が入っていれば、すべてが同じ枠を消費します。プロジェクトごとに独立した容量枠を買う仕組みではありません。
大きな利点は、アクセスが急増したときの扱いです。スパイク保護はデフォルトで有効になっています。1日だけトラフィックが契約ティアを超えても、超過料金や配信品質の低下はありません。Vercelは請求サイクルを通じて利用量が高止まりしたかを見て、次のサイクル開始時にチームを上位ティアへ移すべきか判断します。
つまり、容量はトラフィックの絶対的な上限ではなく、運用上の基準値です。今日のスパイクへの対応と、来月の予算判断は分けて考えられます。

定額料金でカバーされる範囲
現在の料金ガイドでは、容量ティアの対象は5種類です。CDN Requests、Fast Data Transfer、Blob Data Transfer、Sandbox Data Transfer、そしてCDNリクエストから生成されるObservabilityイベントが含まれます。請求ダッシュボードでは、CDN RequestsはEdge Requestsと表示されます。
一方、この範囲はVercelの請求書全体よりも狭いものです。Pro自体には月額$20のプラットフォーム料金があり、デプロイ担当者1席分と月額$20の利用クレジットが含まれます。デプロイ担当者を追加すると1席につき$20です。Function compute、Fast Origin Transfer、ビルド、ストレージ操作、有料アドオン、そのほかの製品利用には、それぞれ別の課金ルールが適用されます。
Flat Rate CDNが変動をなくすのは、あくまで請求項目の1つです。Vercel全体が固定料金のサブスクリプションになるわけではありません。アカウント全体の費用を見積もる際は、引き続きVercel料金の完全ガイドを参照してください。
Vercel CDN 料金を具体例で計算する
通常、請求サイクルごとに8 million件のCDNリクエストと2 TBのデータ転送がある架空のProチームを想定します。これは計算方法を示すための例であり、Vercel顧客の実測値ではありません。
基本のFlat Rateティアは1 million件のリクエストと1 TBまでなので、このチームには足りません。$20のティアなら10 million件のリクエストと50 TBの余裕があり、通常月をカバーできます。したがって、このサイクルのCDN容量料金は$20です。
同じチームで、製品ローンチにより1日だけアクセスが急増したとします。Vercelによると、このような一時的なスパイクでティアが引き上げられることはありません。適用条件とフェアユース規定の範囲内で、その月のCDN容量料金は$20のままです。
状況が変わるのは、成長が継続した場合です。請求サイクルを通じて12 million件のリクエストが続けば、10 million件のリクエストのティアを超えます。次に公表されているのは50 million件のリクエストで$100のティアなので、次のサイクルではCDN容量料金が$80上がる可能性があります。
ここがこの料金体系の本質です。想定外の1日が突然のCDN超過料金を生むことはなくなります。一方、通常月そのものが大きくなれば、翌月の料金も上がり得ます。
また、定額方式が必ず最安になるとは限りません。Vercelの現行のオンデマンドCDNドキュメントでは、Proに10 millionのEdge Requestsと1 TBのFast Data Transferが含まれると説明されています。これに対して、Flat Rateの基本ティアは1 millionリクエストで、転送量は同じ1 TBです。
既存のProチームで、通常時の転送量が1 TB未満、リクエスト数もオンデマンドの基本枠内に収まり、スパイクのリスクも低いなら、オンデマンドのほうが無料で使えるリクエスト枠を多く確保できます。Flat Rate CDNは、その余裕の一部と引き換えに、CDN料金の固定化とスパイク保護を得る仕組みです。「定額なら安い」と決めつけず、Billingで両方式を比較してください。
チーム別に見る実務への影響
1人でSaaSを運営する創業者のローンチ
プロダクトを公開する創業者は、最もアクセスが多いローンチ日ではなく、通常月を基準にティアを選べます。普段の利用が$20のティアに収まるなら、ローンチやメディア掲載で1日だけ流入が殺到しても、その月のCDN料金は変わりません。
メリットは、どのケースでも通信費が安くなることではありません。キャンペーン開始前にCDNの金額を確定できる点にあります。ただし、ティアの対象外であるFunction、ビルド、そのほかの利用量は別途管理する必要があります。
複数の顧客サイトを運用する制作会社
制作会社は、チーム単位で考える必要があります。ある顧客サイトのアクセス急増も、対象となるほかの全プロジェクトと同じ容量枠を消費します。ダッシュボードでは、チーム全体の合計だけでなく、プロジェクト別の内訳を見ることが重要です。
Vercelでは、事業上の重要度が低いプロジェクトだけをFlat Rateの容量枠から外し、Flex CDNへ移せます。そのプロジェクトではVercel DNSを使う必要があります。実験用サイトや優先度の低いサイトが共有枠を圧迫しないようにできますが、これは配信経路の選択であり、専用の容量枠がもう1つ付与されるわけではありません。
財務部門と連携するSaaS開発責任者
開発責任者はUsageダッシュボードやvercel usageを使い、1日だけの急増と、日々の基準トラフィックそのものの上昇を切り分けられます。財務部門は、現在のティアを今サイクルの確定済みCDN費用として扱い、高い基準値が続く場合は次のティアを予算に織り込めます。
成長期にリクエスト単価から概算を作って財務へ渡すより、はるかに明確な連携です。ただし、Vercelは古いティアを永久に維持するのではなく、次のサイクルで適正なティアへ変更できるため、利用状況を管理する担当者は必要です。
コマース施策を実施するマーケティング責任者
マーケティング責任者にとって、対象となるストアフロントのローンチ期間は運用しやすくなります。一時的にアクセスが急増しても、サイトはCDN超過料金なしで配信を続けられます。運用側で見るべきなのは、キャンペーン終了後にトラフィックが通常水準へ戻るかどうかです。
ただし、キャンペーン予算にはCDN以外の費用も見込む必要があります。プロモーションによってサーバー処理、画像変換、ストレージ操作、有料のObservabilityが増えれば、配信料金が一定でも、それらの項目は上昇します。
メディア配信やダウンロード製品の運営者
ファイル転送そのものを主目的とする製品は、この料金体系の対象ではありません。大量ダウンロードサービス、メディア中心の配信、CDNをストレージ代わりに使う構成、高容量転送が主要機能となるワークロードは、公表されている適用条件から外れます。
50 TBという数字だけを見てメディア配信の予算を立て、対象になると考えるべきではありません。Vercelは対象外のプロジェクトをFlex CDNへ移したり、別のプランや製品への変更を求めたり、サービスを制限したりできます。
通常時の利用量を基準に設定する
通常月の請求サイクルを確認する
チームのUsage画面を開き、Edge Requestsと表示されるCDN Requestsと、対象となるデータ転送リソースを確認します。日別・プロジェクト別に内訳を表示し、1日だけのイベントは基準値ではなくスパイクとして区別してください。
2つの課金方式を比較する
通常時のリクエスト数と転送量を、それぞれの方式に含まれる基本枠と照らし合わせます。CDN料金を確定できる価値とスパイク保護が追加の容量料金を上回るなら、Flat Rateを選びます。通常利用がオンデマンドの枠内に収まり、その条件がチームに合うなら、オンデマンドを維持します。
チーム全体に合う容量を選ぶ
チームのSettingsを開き、BillingからFlat Rate CDNを探します。個別プロジェクトの平均ではなく、チーム全体の通常利用に合うティアを選んでください。対象条件を満たす重要度の低いプロジェクトを共有容量から外す場合はFlexへ移し、Vercel DNSを使用していることを確認します。
次のサイクルで増える可能性を確認する
続行する前に、Billingに表示されるサブスクリプション費用を確認します。サイクルを通じて高い利用量が続くと次回から上位ティアへ移る可能性があるため、次のティアも記録してください。後から手動でティアを変更した場合も、適用は次のサイクルからです。
スパイク保護にも上限がある
したがって、「無制限」と捉えるのは誤りです。アクセスが急増してもサイトは稼働し続け、そのスパイクが超過請求に変わらないという意味です。ファイル配信事業をこのティアで運営してよい、あるいは容量を恒常的に超えてよいという意味ではありません。
月曜日に決めること
対象条件を満たすProアプリを運用しており、一時的なトラフィックのためにCDN費用を予測しにくいなら、今週中に対応しましょう。Billingを開き、通常の1サイクルを公表されている4つのティアと比較し、リクエスト数と転送量の両方が収まる最小のティアを選びます。
現在のオンデマンド基本枠で通常利用をまかなえており、一時的なスパイクが事業上の大きなリスクでないなら、切り替えは待つべきです。2つの方式ではリクエストの基本枠が異なるため、価格と予測可能性のどちらを優先するかという判断になります。
請求額がFunction、ビルド、席数、アドオン、または対象外のメディア配信によって変動している場合、今回のリリースでは解決しません。それらはCDNと分けて管理してください。
月曜日には、Billing設定を閉じる前に結論を1つ記録しましょう。容量ティアを明記してFlat Rateを有効にするか、費用上の理由を明記してオンデマンドを維持するかです。今回のリリースが予算管理にもたらす本当の変化は、そこにあります。
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- 最終更新
- 2026年9月9日
- カテゴリー
- Explained







