Vercel 料金改定:非公開の本番サイトはいくらかかる?

Vercel 料金改定を解説。追加$0のVercel Authenticationと、Proで1プロジェクト月額$20のPassword Protectionを比較します。1、5、8件の試算から、社内ツール、顧客確認用サイト、既存の月額$150プランで選ぶべき方式と設定時の注意点を整理します。

Thursday, September 10, 2026Omid Saffari
Tools
Vercel 料金改定:非公開の本番サイトはいくらかかる?

今回のVercel 料金改定により、Vercelで非公開の本番サイトを保護する追加料金は、月額$150が必須だった従来から、$0で始められる形へ変わりました。2026年9月9日以降は、Vercel Authenticationなら保護機能の追加料金なしで本番環境を非公開にできます。一方、Proで共有パスワードを使う場合は、保護対象のプロジェクトごとに$20かかります。

Vercel 料金改定で分かれた2つの保護方法

Vercelが見直したのは、デプロイ全体を非公開にするための料金です。これは公開済みサイトの手前に置くアクセスゲートであり、エンドユーザー向けに自社で実装するログイン機能とは別物です。

無料で使えるのはVercel Authenticationです。All Deploymentsを有効にすると、本番ドメイン、プレビューURL、自動生成されたデプロイURLが保護されます。閲覧者はVercelアカウントでサインインし、そのプロジェクトへのアクセス権を持っていなければなりません。現在はVercelが標準提供しており、Hobby、Pro、Enterpriseのどのプランでも保護機能の追加料金はかかりません。

有料になるのはPassword Protectionです。プロジェクト単位の料金モデルを利用するProチームでは、保護対象のプロジェクト1件につき月額$20です。閲覧者は、設定されたパスワードを入力してからデプロイを開きます。

変更前は、VercelのAdvanced Deployment Protectionアドオンで本番環境を保護するために、チーム単位で月額$150が必要でした。Password Protectionはこのチーム向けアドオンに含まれ、全プロジェクトを対象にしていました。新料金では役割が切り分けられ、アカウントによるアクセスは無料、共有パスワードによるアクセスはプロジェクトごとの課金です。

重要なのは、機能名よりもこの違いです。サイトを見る人が全員Vercelプロジェクトのメンバーで問題なければ、保護の追加料金は$0にできます。クライアントや社外の確認担当者に簡単なパスワードで見せたい場合は、非公開にするプロジェクト数が請求額を左右します。

1、5、8プロジェクトでVercel 料金を比較

ここで扱うプロジェクト数は試算用であり、Vercelの上限ではありません。保護機能だけの費用を切り出し、選択肢の違いが分かるようにしています。

保護対象のプロジェクト数Vercel Authenticationプロジェクト単位のProパスワード既存の月額$150チーム向けパスワードプラン
1追加$0月額$20月額$150
5追加$0月額$100月額$150
8追加$0月額$160月額$150

パスワードで保護するプロジェクトが1件なら、新しいプロジェクト単位の料金は従来のチーム料金より$130安くなります。5件では$50安く、8件では$10高くなります。この比較で旧チーム料金のほうが安くなる最初の例が8件です。

無料のVercel Authenticationと、1件、5件、8件のPassword Protectionを比較した建築的な料金モデル
パスワード保護の請求額は、保護するプロジェクト数に応じて増えるようになりました。

ただし、この比較が成り立つのはアクセス方法が利用者に合っている場合だけです。プロジェクトへのアクセス権をすでに持つ人だけが使う社内ツールなら、8件でもVercel Authenticationの追加料金は$0です。一方、確認担当者をVercelプロジェクトに招待したくないクライアントサイトなら、1件でも$20のパスワード料金を払う価値があります。

プラットフォーム料金全体を確認するときも、保護料金はVercelの料金ガイドと分けて考えてください。シート、利用量、保護を一つの金額にまとめると、必要な判断がかえって見えにくくなります。

利用者別に見る最適なVercel アクセス制限

社内のプロダクトチーム

本番運用中の管理画面やオペレーション用ダッシュボードには、Vercel Authenticationが向いています。スタッフは各自のVercelアカウントでサインインし、チーム、プロジェクト、アクセスグループの権限に沿って利用できます。

利点は、退職者のアクセスを整理しやすく、保護の追加料金も$0で済むことです。その人のプロジェクト権限を外せば、アクセスゲートもそのアカウントを許可しなくなります。退職後も使い続けられる共通パスワードを配る必要はありません。

非公開のクライアントサイトを共有する制作会社

5社の承認待ちとなっている本番サイトが5件あるとします。各クライアントがVercelのプロジェクト権限ではなく共有パスワードを必要とする場合、プロジェクト単位で課金されるProの保護料金は月額$100です。

この件数なら従来の月額$150のチーム向けアドオンより安価ですが、必ずしも最適な運用とは限りません。料金を払うことで、社外の確認担当者にアカウントを作ってもらい、プロジェクト権限を管理する手間を省いているからです。

未公開サービスのローンチを控えるスタートアップ

オンボーディング、料金、法務ページの仕上げを進めながら、実際の本番ドメインを非公開にできます。確認する全員がVercelにサインインし、プロジェクト権限を受け取れるなら、Vercel Authenticationで追加の保護料金をかけずに対応できます。

適用範囲には注意が必要です。All Deploymentsを選ぶと、プレビューと本番環境がまとめて保護されます。プレビューを公開したまま本番環境だけを保護するには、EnterpriseのTrusted IPsが必要です。ただし、無料のDeployment Protection Exceptionsを使えば、指定したプレビュードメインだけを公開できます。

すでに月額$150を支払っているProチーム

Advanced Deployment Protectionを購入済みのProチームは、自動的に新料金へ移行しません。Vercelの説明では、月額$150のチーム単位モデルと、全プロジェクトを対象にしたパスワード保護がそのまま維持されます。請求書にはTeam-level Password Protectionと記載されます。

パスワードが必要なプロジェクトが多ければ、この旧料金のほうが有利です。新しい公開料金が安く見えるという理由だけで解約してはいけません。プロジェクト単位のPassword Protectionへ切り替えたい既存チームには、Vercelがサポートへの問い合わせを案内しています。変更する前に、移行時の扱いを確認してください。

ダッシュボードで最適な方法を選ぶ手順

この変更にコードは不要です。必要なのは、プロジェクト一覧、利用者ごとの判断、そして現在の設定画面です。

保護方法と適用範囲を説明するVercel Deployment Protectionのドキュメント
Vercel Deployment Protection
  1. 非公開プロジェクトを利用者別に分類する

    閲覧者全員がVercelにサインインし、プロジェクト権限を持てるならアカウントアクセスに分類します。社外の確認担当者がパスワード方式を必要とするなら共有パスワードです。公開プロジェクトはどちらの件数にも含めません。

  2. 保護料金だけを分けて計算する

    共有パスワードが必要な件数だけに$20を掛けます。Proのプラットフォーム料金$20、追加の有料シート1席あたり$20、利用量、税金は別の行に分けます。請求書にTeam-level Password Protectionがすでにある場合は$150と比較し、変更前にサポートへ問い合わせてください。

  3. 用途に合うアクセスゲートを有効にする

    Vercelで対象プロジェクトを開き、Deployment Protectionの設定へ進みます。Vercel Authenticationなら機能を有効にしてAll Deploymentsを選び、保存します。Password Protectionなら機能を有効にし、デプロイ環境を選んでパスワードを設定し、保存します。

  4. 実際の閲覧者と同じ条件でテストする

    本番URLをプライベートブラウザで開きます。無料の方式では許可済みのVercelアカウント、有料の方式では現在のパスワードを試してください。デプロイを呼び出す自動システムも必ず確認します。保護されたツールには、許可されたアクセス経路か自動処理用のバイパスが必要だからです。

導入前に知っておくべき現実

無料の方式では、費用の代わりにアクセス管理の手間が増えます。保護の追加料金が$0でも、人が閲覧するには全員がVercelアカウントを持ち、適切なプロジェクト権限を付与されていなければなりません。社内チームにはたいてい問題ありませんが、入れ替わりの多いクライアントに使うと煩雑になりがちです。

パスワード方式では、管理対象が共有の秘密情報に変わります。VercelがCookieを設定するため、閲覧者がパスワードを入力するのは通常、デプロイURLごとに1回です。パスワードを変更すれば、全員が新しいものを入力し直す必要があります。安全な共有と定期的な変更も、誰かが担わなければなりません。

プロジェクト単位のPassword Protectionを無効にすると今後の課金は止まりますが、そのプロジェクトに存在するすべてのデプロイと閲覧者の間にある保護も変わります。無効にする前に、Vercel Authenticationなど意図した別の方法が有効なままか確認してください。

Vercelの一般的な料金ページには、Advanced Deployment Protectionが$150と引き続き表示されている場合があります。製品別の最新ドキュメントでは、既存のPro契約者はチーム単位モデルを維持し、現在のPro向けPassword Protectionは保護対象プロジェクト1件につき$20と説明されています。自社に適用される料金モデルは、請求書とDeployment Protectionのドキュメントを基準に判断してください。

月曜日に着手すること

本番環境の保護に料金を払っている、社内向けの本番ツールを運用している、または複数のクライアントサイトを1つの共有パスワードで守っているなら、今週中に見直しましょう。非公開プロジェクトを一覧にし、誰がアクセスするかを分類したうえで、保護料金を予算の独立した項目にします。

Vercelアカウントとプロジェクト権限で運用できる場所には、無料のVercel Authenticationを使います。社外の人にとって簡単な閲覧方法に月額料金を払う価値がある場所だけ、$20のパスワードを選びます。すでに月額$150のチーム単位モデルを使っているなら、サポートから書面で移行条件の回答を得るまで変更しないでください。

公開中の本番サイトには影響しません。Enterpriseではチーム単位のPassword Protectionがすでに含まれています。Hobbyでは引き続きPassword Protectionを購入できませんが、追加の保護料金なしでVercel Authenticationを利用できます。

運用コストを変えるツールの最新情報を分かりやすく知りたい方は、ニュースレターにご登録ください。

最終更新
2026年9月10日
カテゴリー
Explained

Googleでこのサイトを優先する

omidsaffari.comをGoogle検索の優先ソースに追加

omidsaffari.comを優先ソースに設定すると、GoogleがTop Stories・AI Overviews・AI Modeであなたのために優先表示します。

AI 文字起こしの料金は据え置き:Grok Voice Transcribe 2.0移行ガイド

AI 文字起こしの料金は据え置き:Grok Voice Transcribe 2.0移行ガイド

Grok Voice Transcribe 2.0のAI 文字起こし料金は、バッチが音声1時間あたり$0.10、ストリーミングが$0.20のままです。デフォルトモデル変更で起こり得る出力差、移行前に確認すべき総コスト、1.0と2.0を同条件で検証して本番モデルを固定する手順を、運用担当者向けに整理します。2026年9月20日Explained
HAR ファイルで原因を追う:Cloudflare Browser Runの失敗調査

HAR ファイルで原因を追う:Cloudflare Browser Runの失敗調査

Cloudflare Browser RunのSession RecordingにInspectパネルが加わり、完了後のログ、通信、最終DOMを確認できるようになりました。HAR ファイルで失敗原因を絞り込み、不要な再実行を減らす手順、料金への影響、録画では見えない領域まで、実務向けに分かりやすく解説します。2026年9月19日Explained
v0でnpm プライベートパッケージを活用する:社内コンポーネント再利用の実践ガイド

v0でnpm プライベートパッケージを活用する:社内コンポーネント再利用の実践ガイド

v0が共有環境変数経由でnpm プライベートパッケージに対応。NPM_TOKENとNPM_RCの選び方、認証情報をモデルやSandboxに渡さない仕組み、社内コンポーネントを試作から本番へ引き継ぐ設定手順、料金と実務上の注意点を整理し、差し替え工数を減らせるか判断する方法を解説します。2026年9月19日Explained
Claude Code 料金を見直す:auto modeの分類器課金が消える条件

Claude Code 料金を見直す:auto modeの分類器課金が消える条件

Claude Code 2.1.278では、auto modeの安全判定をサーバー側で処理できるセッションの分類器リクエスト課金がなくなります。API、Enterprise、クラウド、ゲートウェイ環境で適用条件を見極め、/statusで実際の課金経路を確認し、予算へ正しく反映する方法を解説します。2026年9月19日Explained
Vercel ビルド高速化:Turboを1回だけ使う方法と料金

Vercel ビルド高速化:Turboを1回だけ使う方法と料金

VercelのPro/Enterpriseで、プロジェクト設定を変えずに1回のデプロイだけTurboを指定する方法を解説します。GitHubのコミットマーカー、Vercel CLI、デプロイAPIという3つの経路と、1分あたり$0.105からの料金、権限不足時のフォールバック、通常ビルドとの比較手順まで整理しました。2026年9月18日Explained
ChatGPT Word連携の実力:できること・料金・導入手順

ChatGPT Word連携の実力:できること・料金・導入手順

ChatGPT Word連携を使えば、Wordのサイドバーで下書き、要約、選択範囲の修正、見出し調整まで完結します。利用条件、共有される使用量、料金の考え方、データ境界、導入手順を、提案書やSOPの具体例とともに解説。コピペ往復を減らしつつ、事実や約束を守るレビュー方法も紹介します。2026年9月18日Explained
Google Antigravity移行ガイド:10月5日までのローカルジョブ対応

Google Antigravity移行ガイド:10月5日までのローカルジョブ対応

Google Antigravityの5月版エージェントは2026年10月5日に停止予定です。出力のみのジョブはID変更で済みますが、ローカルツールやfunction_callを扱う環境には、新しいツール名、PascalCase引数、行範囲編集に対応するアダプター改修が必要です。安全な移行手順を解説します。2026年9月18日Explained
Cloudflare WorkersのRPCトレースで遅延箇所を特定する

Cloudflare WorkersのRPCトレースで遅延箇所を特定する

Cloudflare WorkersのRPCトレースで、遅い顧客リクエストを別のWorkerやDurable Objectまで追跡。担当サービスとメソッドを見つける手順、サンプリング率、保持期間、2026年10月1日以降のスパン単位の料金まで、チェックアウトの例で実践的に解説します。2026年9月17日Explained
ニュースレター

毎週日曜、一通の手紙。動くシステムの話。感想戦ではなく。

週刊。スパムなし。いつでも解除できます。